ちょっと期待はずれ。
けっこう記述に矛盾が多いですね...。
本人の夢をただ書き連ねただけ?
超・新幹線が日本を変える 著者名:川島令三(著)
出版社:ベストセラーズ
出版年:2008.06
ISBN :9784584130810
「リニア新幹線」、大阪(新大阪)まで開通しないと意味がない、というのは
実際の新幹線の利用状況から見て、また名古屋での乗り換えの不便
(「リニア新幹線」は地下になるらしい)を考えるとよくわかるのですが、
JR東海が発表してるのは2025年に名古屋まで。
新大阪まで造るとしたら予算はどうする?
大阪府にはそんな余裕はないぞ...
あとは、サブタイトルに「2025年の高速鉄道網」なんてある割には
記述は殆ど今の整備新幹線をなぞったものばかり。
もっと新幹線(フル規格)を建設するような意見があるものと思っていたけど、
そうじゃなかったのですね。
この辺はなぜか現実的...。
GCT(軌間可変電車)の記述がやたらと多く出てくるが、
そもそも2025年に実用化しているかというと、
これもちょっと疑問。
さすがに2025年までには... という意見もあるでしょうが、
でもまだまだ問題が多すぎる。
それに新幹線の駅の容量からして、そんなにあちこちの線に
GCTを出せるほどの余裕はないでしょうし。
もしこの本に書いてあること実現するなら、
主要駅自体大幅な拡張が必要でしょう。
(でも主要駅ってそう拡張の余地がない場合もあるのですね...)
整備新幹線区間の速度については、前の記事で書いたので
ここでは省略しますが、
東北新幹線、その他九州新幹線で触れられている 360km/h 走行。
JR西日本が500系で 350km/h を断念し、
その10年後、JR東日本が試験車両で 360km/h をテストしたが、またもや断念。
(前の記事のように 320km/h どまり)
これ、この本には「全然書かれていない部分」なのですが、
パンタグラフの騒音がクリアできないのですね。
ヨーロッパでは走行できたとしても、日本では規制がかかる...
JR東日本 FASTECH360 の試験の結果 360km/h を諦めたようだし、
パンタグラフの騒音、まだ改良が必要でどれがどのぐらいかかるのか...
この本に書いてあるような2015年なんて時期では無理でしょうね。
360km/h 走行が必要なのはわかりますが、
どうすればクリアできるとか、そもそも問題があること自体書いてない。
航空機と対比したときの条件ばかりが書かれてある。
読んだ感想は「日本を変える」というほどではない、ということですか...
本当に「リニア新幹線に乗客が集中し」がありえるかは、ちょっと疑問。
その理由は、ここでは書かれていなかった運賃について。
JR東海が現時点で予定しているような、
東海道新幹線と1000円程度の差、であれば
それと、地方の整備新幹線、
個人的には、建設資金が潤沢になるなら
いくら造って貰ってもかまわない、と思う。
でも、現実はそうではなく、
過去の新幹線建設の影で、ローカル線の廃止、第3セクターへの切り替え、
があったのも事実。
そういうしわ寄せなしで建設できるのかどうか。
結局こういう疑問は疑問のままだった。
建設の財源は、高速道路の建設資金をまわせばいい、と
書いてあるけれど、それこそ政治問題だ。
単に高速道路を増やさなければ車が減って新幹線に乗客が流れる、
なんてそんな単純なものでもないだろう。
車 → 列車 への以降を促すには、
それこそヨーロッパでやっているような車の規制
トランジットモールとか、を本格的に導入する必要があるのでは?
長距離移動は... 結局は運賃次第ですね。
それと乗り換えの不便を極力なくすこと。
GCTはそういう面では実用化すれば重宝されそうだけれど、
今のところ見通しが立ってないようだし...
長崎新幹線のように建設費ほどに効果があるのか疑問な路線でも
建設すべし、なんて書いてあるのに、
「基本計画新幹線」に分類されているものは
問答無用で「実現の可能性は低い」なんて書き方か、
簡単に触れてあるだけ...。
そういうところにこそ、長距離で効果のある路線が
ありそうなのに... ね。

