2008年07月05日

『 超・新幹線が日本を変える − リニア開通2025年の高速鉄道網 』

読了、ですが
ちょっと期待はずれ。
けっこう記述に矛盾が多いですね...。
本人の夢をただ書き連ねただけ?


超・新幹線が日本を変える
著者名:川島令三(著)
出版社:ベストセラーズ
出版年:2008.06
ISBN :9784584130810


「リニア新幹線」、大阪(新大阪)まで開通しないと意味がない、というのは
実際の新幹線の利用状況から見て、また名古屋での乗り換えの不便
(「リニア新幹線」は地下になるらしい)を考えるとよくわかるのですが、
JR東海が発表してるのは2025年に名古屋まで。

新大阪まで造るとしたら予算はどうする?
大阪府にはそんな余裕はないぞ...

あとは、サブタイトルに「2025年の高速鉄道網」なんてある割には
記述は殆ど今の整備新幹線をなぞったものばかり。
もっと新幹線(フル規格)を建設するような意見があるものと思っていたけど、
そうじゃなかったのですね。
この辺はなぜか現実的...。


GCT(軌間可変電車)の記述がやたらと多く出てくるが、
そもそも2025年に実用化しているかというと、
これもちょっと疑問。
さすがに2025年までには... という意見もあるでしょうが、
でもまだまだ問題が多すぎる。
それに新幹線の駅の容量からして、そんなにあちこちの線に
GCTを出せるほどの余裕はないでしょうし。
もしこの本に書いてあること実現するなら、
主要駅自体大幅な拡張が必要でしょう。
(でも主要駅ってそう拡張の余地がない場合もあるのですね...)

整備新幹線区間の速度については、前の記事で書いたので
ここでは省略しますが、
東北新幹線、その他九州新幹線で触れられている 360km/h 走行。
JR西日本が500系で 350km/h を断念し、
その10年後、JR東日本が試験車両で 360km/h をテストしたが、またもや断念。
(前の記事のように 320km/h どまり)
これ、この本には「全然書かれていない部分」なのですが、
パンタグラフの騒音がクリアできないのですね。
ヨーロッパでは走行できたとしても、日本では規制がかかる...

JR東日本 FASTECH360 の試験の結果 360km/h を諦めたようだし、
パンタグラフの騒音、まだ改良が必要でどれがどのぐらいかかるのか...
この本に書いてあるような2015年なんて時期では無理でしょうね。

360km/h 走行が必要なのはわかりますが、
どうすればクリアできるとか、そもそも問題があること自体書いてない。
航空機と対比したときの条件ばかりが書かれてある。

読んだ感想は「日本を変える」というほどではない、ということですか...

本当に「リニア新幹線に乗客が集中し」がありえるかは、ちょっと疑問。
その理由は、ここでは書かれていなかった運賃について。
JR東海が現時点で予定しているような、
東海道新幹線と1000円程度の差、であれば

それと、地方の整備新幹線、
個人的には、建設資金が潤沢になるなら
いくら造って貰ってもかまわない、と思う。
でも、現実はそうではなく、
過去の新幹線建設の影で、ローカル線の廃止、第3セクターへの切り替え、
があったのも事実。
そういうしわ寄せなしで建設できるのかどうか。


結局こういう疑問は疑問のままだった。
建設の財源は、高速道路の建設資金をまわせばいい、と
書いてあるけれど、それこそ政治問題だ。
単に高速道路を増やさなければ車が減って新幹線に乗客が流れる、
なんてそんな単純なものでもないだろう。

車 → 列車 への以降を促すには、
それこそヨーロッパでやっているような車の規制
トランジットモールとか、を本格的に導入する必要があるのでは?
長距離移動は... 結局は運賃次第ですね。
それと乗り換えの不便を極力なくすこと。
GCTはそういう面では実用化すれば重宝されそうだけれど、
今のところ見通しが立ってないようだし...

長崎新幹線のように建設費ほどに効果があるのか疑問な路線でも
建設すべし、なんて書いてあるのに、
「基本計画新幹線」に分類されているものは
問答無用で「実現の可能性は低い」なんて書き方か、
簡単に触れてあるだけ...。
そういうところにこそ、長距離で効果のある路線が
ありそうなのに... ね。
posted by Silent Bells at 01:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 鉄道に関して
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※半角英数字のみのコメントは書き込みができないようになっています。

この記事へのTrackBack URL

※半角英数字のみのトラックバックは受信されないようになっています。