2006年11月29日

『 労働ダンピング − 雇用の多様化の果てに 』 雇用の液状化が働き手を襲っている!

有期雇用、契約社員、派遣、パート、偽装請負...
雇用の液状化が働き手を襲っている!
(本の帯から)

各種規制緩和、貿易自由化、価格破壊は
日本の雇用にどう影響を与えたか?


労働ダンピング − 雇用の多様化の果てに
著者名:中野麻美(著)
出版社:岩波書店
出版年:2006.10
ISBN :4004310385


あえていうまでもなく、
企業では正社員の人数が減らされ、
代わりを契約社員、派遣でまかなっている。
理由は単純。人件費の削減。

バブル崩壊後の不況、相次ぐ規制の緩和、貿易の自由化、
それに伴う物価の下落(価格破壊)。
そして労働者派遣法の制定、改正。
それらが、正社員の削減と派遣、アルバイトの増加を加速させた。
しかも末端では、違法なくらいの賃金(最低賃金すら下回る)で
酷使され、十分な福利厚生もなく、また会社の都合で一方的に職を解かれる。

派遣、アルバイトで酷使されて得た収入よりも、
生活保護世帯の収入よりも少ないこともあるという。
それじゃ、働こうという気が起こらない人が出てきても仕方ない...

海外でも同じような問題が起きたことと、
どう解決しようとしているかが、欧米諸国、特にオランダを例に
紹介されていたが、これがそのまま日本で通用するかは疑問。
雇用者は雇用することについて、
従業員は労働についての意識を
根本から改めなければいけないのかもしれない。

また、このような状況を改善するために
国内で動き出した人の例も紹介されているが、
まだまだ「大きな流れ」になるには至っていない。

ただでさえ、海外から易いものが輸入される。
企業もコストのかけられないものは派遣、アルバイトに任せるか、
海外で生産して国内に持ち込む...
(本書には載っていないが、デジカメのメーカー工場での違法な勤務実態も
以前ニュースになっていた)

日本が再び正常な雇用関係を回復にするには、
余程の改革、監視機能の充実を図ってくれない限りは
無理なのかもしれない。


規制緩和、民営化の結果、何が起こっているかというと、
過剰な企業間競争が起きている。
正常な市場競争などどこにもない。
その結果、削られた人件費のしわ寄せが末端に行く。

資本主義の「市場の健全な競争社会」というものは
実は幻なのではないのだろうか?

例えば建設業では、
日本では、今までは「談合」である程度価格を維持していた。
今の日本では談合は違法であり、
本来(もっと低価格で落札)なら必要ない税金が投入されてしまう、
という批判もある。
が、談合をここまで徹底的に摘発して排除するとどうなるか?
今度は極端な価格競争を引き起こして、異常な安値で落札する。
当然そのままでは利益すら出せない。
そのしわ寄せの穴埋めは、前記したとおり。

世の中、いざなぎ景気を超えるだとか、
企業の業績は回復しただとか、
そういうニュースが報じられているけれど、
所詮、こういった末端の犠牲の上に成り立つ業績。

誰もが「景気が回復したという実感がない」と感じるのも当然と思える。

「儲かりさえすればいい」と考えているような経営者にこそ読んで欲しい。
もしあなたが、何かのトラブルで自分の会社を手放すようなことがあった場合、
他人事ではない話です。
posted by Silent Bells at 02:55| Comment(0) | TrackBack(3) | 働くということは
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