2006年08月28日

『 NTT民営化の功罪 - 巨人の「独占回帰」を問う 』

郵政民営化を前に、
既に民営化されているNTTを検証する、という内容。

出版が 2006年1月 なので、
ソフトバンクによるボーダフォンの買収以前の
内容であることには注意。


NTT民営化の功罪
著者名:神崎正樹(著)
出版社:日刊工業新聞社
出版年:2006.01
ISBN :4526055891


NTTという巨大企業と、
NTTを取り巻く新電電数社の状況を説明。
一応、新電電側の言い分、NTT側の言い分どちらも
載せてはあるけれど、どちらかといえばNTTの現在の体制を
批判する側の内容。

あとは第三者の意見も載せてあるが、
その中で、「NTTが独占している回線(市内通信網)を
NTTから切り離す。」のようなことを
数人が述べているようだけれど、
NTTだけが独占的な巨大企業で不公正だ、というのなら
そうするか、もしくは回線だけは国営に戻して、国が管理する。
で、NTTを含む民間企業に貸し出す、
そうでもしない限りは何も変わらないような気もする。

ユニバーサルサービスとして、全国に敷設が義務付けられているのなら、
そういうことは民間企業がやるよりも、
やはり国か自治体がやるべきことでは?
光ファイバー網が今の電話線を置き換える存在になるのであれば、
光ファイバー網も敷設、管理は公(官)でやるべきだと思う。
なにもかも民間にさせる、ということ自体が
本当は間違っているのではないだろうか...?

官が行うこと、民間に任せること、
民営化した際の分割方法、
全て本来あるべき姿ではないような気もする。
たぶんJRも同じ。
今後民営化される郵政はどうなるのでしょうか?
郵政の場合はユニバーサルサービスはどういう扱いになるのだろうか?
赤字部門、「お荷物」として廃止されてしまうのか?
そんなことになるのぐらいなら、ポスト、郵便局、
何かは「官」に残すべきでは?

後この本は「競争原理が」とか『競争が」とか言う言葉かやたらと多い。
資本主義の市場原理には競争が必要、ということだろうか。
しかし競争が行き過ぎるのも考えもの。

NTT関連でいえば、ADSL の料金は競争で安くなった、
が、利用者はそれだけで満足しているだろうか?
安くなった分サービス自体は低下はしていないか?
一人あたりの通信速度はある程度確保されているのか?
NTTの中継局近辺以外に殆ど有効でないのに ADSL の
速度ばかり上げるのは本当に意味があるのか?

競争が行き過ぎるとどんなことが起こるか、
それはJR西日本が去年どんな事故を起こしたかを考えれば
一目瞭然です。

それでも資本主義に競争は必要、というのであれば、
「資本主義」自体に何か限界があるのではないのか?
だからといって、社会主義だ、共産主義だというほど、
単純には思わないけれど、
(だいいち共産主義も既に破綻しているし)
でも、誰もそのことには触れようとしないのはなぜ?

独占を監視する機関はあるのだから、
過度な競争についても監視を行う機関があってもいいのではないだろうか?

これから民営化される郵政も、
既に民営化されたNTTやJRも、
もう一度あり方を再検討すべきではないでしょうか?
posted by Silent Bells at 02:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 民営化でいいのか
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